猫の後ろ足が突然動かない ── 大動脈血栓塞栓症(ATE)の緊急サイン
このコラムは診断・治療を行うものではなく、獣医師との対話を助けるための情報整理です。 記載の症状や受診目安は一般的な目安であり、個体差・持病の有無によって判断は変わります。 最終的な判断は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。
「急に大声で鳴いて、後ろ足が動かなくなった。びっくりして数十分悩んだ」── ATE は分単位で予後が変わる救急疾患で、見極めと連絡の早さが命運を分けます。
短期間なら様子見していいケース
- 一過性のつまずきや、寝起き直後のふらつきで、数分以内に普通に動ける
- 元気・食欲・呼吸がいつもどおり
- 足の温度・色が左右で同じ
こんな時はすぐに受診を
- 後ろ足が急に動かなくなり、引きずる/力が入らない
- 足先が冷たい、肉球が紫色〜灰色っぽい
- 激しい痛み(鳴き続ける・触ると怒る)
- 口を開けて呼吸する、苦しそう
- 左右どちらかの後ろ足だけ動かない
- 尿や便を漏らす、意識が低下している
考えられる病気
関連する疾患・症状
大動脈血栓塞栓症(ATE)
猫の肥大型心筋症(HCM)など心筋症の合併症として知られる。心臓内でできた血栓が大動脈の分岐部(鞍部)に詰まり、後ろ足の循環が遮断される。鎮痛と血栓溶解/抗凝固で改善することがあるが、緊急性が極めて高い。
脊髄損傷・椎間板疾患
高所からの落下・事故で、後ろ足の麻痺と排尿排便障害が起きうる。猫では犬よりまれだが、シニアでは椎間板変性が起きうる。
糖尿病性末梢神経障害
長期管理されていない糖尿病で、跖行(しょこう:かかとを地面につけて歩く)が出ることがある。後ろ足の力は完全には抜けず、徐々に進行する。
腰の脊髄腫瘍・椎間板変性
シニア猫で慢性的な後ろ足のふらつきが進行することがある。急な完全麻痺ではなく、徐々に動きが鈍くなる。
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糖尿病性末梢神経障害 向け
よくある質問
▶受診までに家でできることは?
できるだけ動かさず、毛布で包んで保温したまま、キャリーに静かに移します。動物病院に電話で「後ろ足の急な麻痺・肉球の色変化」を伝え、酸素室や鎮痛の準備をしてもらうと、到着後の対応が早くなります。マッサージや無理な歩行は避けてください。
▶心臓病と言われていなかったのに、いきなり ATE は起きる?
はい。HCM は無症状のまま進行することが多く、ATE が初めての症状として出ることが少なくないと報告されています。今回の発症をきっかけに心エコー・血圧・心電図で全体像を評価することが推奨されます。
▶生存率はどのくらい?
ATE は重篤な疾患で、急性期を乗り越えても再発リスクや基礎心疾患の管理が必要になります。診断と治療開始の速さ、心機能の状態で予後が大きく変わります。家族の方針(治療継続 vs 緩和)も含めて獣医師と相談する場面が出てきます。
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この症状の実例
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