猫の糖尿病
Feline Diabetes Mellitus
対象犬種・猫種: 全猫種・バーミーズで遺伝的傾向の報告あり・肥満傾向のある中高齢猫
リスク年齢: 7 歳以降に発症が増え、肥満(BCS 7 以上)の猫はリスクが 4〜5 倍に上昇すると報告されています。
この記事は、PubMed の獣医学論文(abstract)を AI が日本語で構造化した 「獣医に相談する前の材料」です。獣医師の診断ではありません。 気になる症状は必ずかかりつけ医にご相談ください。費用情報は目安で、病院により異なります。
猫の糖尿病は人間の 2 型糖尿病に近く、肥満・運動不足・遺伝的素因が引き金。「水をよく飲む・尿が大量・食欲はあるのに痩せる」が三大サインで、早期にインスリン療法と低炭水化物食を開始すれば「寛解(薬が要らない状態)」に至る猫もいます。放置すると糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)で命に関わります。
早期サインチェックリスト
以下の変化に気づいた日があれば、PetCase の毎日記録に残しておくと早期発見につながります。
- 01
多飲多尿(PU/PD)
水をガブ飲みする、尿の固まりが大きく頻繁。トイレが追いつかない。
PetCase の「飲水量」で記録できます - 02
食欲はあるのに体重減少
食べても食べても痩せていく、お腹だけポッコリ残る。
PetCase の「体重・食事量」で記録できます - 03
後肢のふらつき・かかと歩行
糖尿病性神経障害で、かかとを地面につけて歩く独特の姿勢になる。
PetCase の「歩行動画」で記録できます - 04
毛艶の悪化
グルーミングをしなくなり、毛がべたつく・もつれる。
PetCase の「体調写真」で記録できます - 05
元気消失・嘔吐
DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)の前駆症状。アセトン臭がすることも。緊急性が高い。
PetCase の「体調メモ」で記録できます
飼い主ができること
- •飲水量と尿量(システムトイレの吸収シート重量・交換頻度)を毎日記録
- •体重を週 1 回測定、食事量も毎日記録
- •BCS(ボディコンディションスコア)を意識し、適正体重に減量
- •食事を高蛋白・低炭水化物(炭水化物 10% 以下)の療法食に切り替え
- •インスリン投与中は自宅での血糖測定(耳介・肉球の毛細血管採血)を導入できるか相談
受診すべきタイミング
元気消失+嘔吐+食欲廃絶+アセトン臭は DKA の可能性。脱水とショックで命に関わるため即受診。
多飲多尿+食欲があるのに痩せていく場合は数日以内に血糖値・尿糖・フルクトサミン値を測定。
肥満傾向のある中高齢猫は年 1 回の血液検査で空腹時血糖・フルクトサミンをチェック。早期発見で寛解の可能性が上がります。
治療の概要と費用の目安
インスリン製剤(グラルギンまたはプロタミン亜鉛インスリン PZI)の 1 日 2 回皮下注射が標準。高蛋白・低炭水化物の療法食(DM・m/d など)を併用することで、診断から早期にインスリン治療を始めた猫の 30〜70% が寛解(インスリン不要状態)に至るという報告があります。寛解後も再発する可能性があるため、継続的なモニタリングが必要です。
治療費の目安
8,000 円 〜 30,000 円
初診〜血液検査・尿検査・血糖曲線で 1〜3 万円。月額管理費(インスリン+療法食+自宅血糖測定)は 8,000〜20,000 円。DKA で入院が必要な場合は 10〜30 万円。
予後・寿命はどうなるか
猫の糖尿病は診断時の血糖値・臨床症状・基礎疾患の有無により大きく予後が異なります。多くの猫は適切な食事療法と インスリン投与で「寛解」を達成でき、インスリン投与不要になるケースも報告されています。ただし完全な根治は難しく、長期的な血糖管理が必要です。
原因別の予後パターン
初期診断で肥満があり、低炭水化物食(猫用処方食)への切り替えと インスリン開始
40~70% の猫がインスリン投与を卒業できると報告。血糖コントロール達成で5~7年以上の生存も多い。
診断時に既に合併症(慢性腎病、膵炎等)がある
血糖コントロールは可能だが、合併症による全身状態の悪化が進行。インスリン卒業率は 20~30% に低下。
急性期(ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖状態)で診断
ICU 管理下での集中治療が必要。生存率は 50~80% 程度。
🔍 生存期間の中央値
インスリン反応性良好:3~7 年以上の長期生存が期待できます。インスリン依存継続:平均 2~4 年。個体差が極めて大きい。
⚠️ 重要な免責事項
猫の糖尿病は肥満が大きく関与しており、食事管理(低炭水化物食)と体重管理が寛解の鍵。インスリン投与によるコントロール中も、血糖値の定期的な測定と インスリン用量調整が必須。糖尿病性神経障害や他の合併症の発症監視も重要です。
予防・日常ケア
- •体重管理を最優先(肥満は最大のリスク因子)
- •高蛋白・低炭水化物の食事構成を意識
- •ドライフードのみより、ウェットフードを取り入れる
- •運動・遊びの時間を毎日確保し、運動不足を防ぐ
- •ステロイド剤の長期使用は獣医師と必ず相談(医原性糖尿病のリスク)
よくある質問
Q1寛解(インスリンが要らない状態)とは何ですか?
猫の糖尿病は人間の 2 型と似ており、診断から早期に集中治療を始めると 30〜70% で寛解(インスリンを止めても血糖が安定する状態)に至ります。寛解までの中央値は 1〜3 か月。再発リスクもあるため、寛解後も定期検査を続けます。
Q2インスリン注射は自宅でやれますか?
皮下注射は針が極細で、ほとんどの猫が痛みなく受け入れます。獣医師の指導のもとで 1〜2 回練習すれば、ご家族でも問題なく実施できます。注射のタイミングは食事と連動させるため、生活リズムを整えることが治療成功のカギ。
Q3療法食だけでコントロールできますか?
初期や軽症のケースで、高蛋白・低炭水化物の療法食だけで血糖が安定することもあります。ただしインスリン併用と比べて寛解率が低くなる傾向があるため、診断時の血糖値で判断します。
Q4自宅で血糖測定はできますか?
人間用の血糖測定器(アルファトラックは猫用設定あり)で耳介や肉球から採血して測定できます。動物病院での測定はストレス性高血糖が出やすいため、自宅測定の値の方が正確なケースも多いです。
Q5DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)とは?
インスリン不足で体が脂肪を分解し、ケトン体が血中に蓄積して酸性になる急性合併症。元気消失・嘔吐・食欲廃絶・アセトン臭が出たら即救急受診。脱水と電解質異常で命に関わるため、入院での集中治療が必要です。
実際の症例を見る
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PetCase に投稿された同じ疾患の症例から、治療期間・費用・経過を確認できます。
症例を検索する参照した PubMed 論文
Glycemic control in cats with diabetes mellitus using glargine
Journal of Veterinary Internal Medicine ・ 2014
PMID: 24754669
AAHA diabetes management guidelines for dogs and cats
Journal of the American Animal Hospital Association ・ 2018
PMID: 32008189
Predictors of diabetic remission in cats
Journal of Feline Medicine and Surgery ・ 2020
PMID: 32713153
🐈 猫の他の主要疾患も見る
高齢期は複数の疾患を併発することが多くあります。あわせてチェックすることで早期発見の確率が上がります。
猫の慢性腎臓病(CKD)
猫の慢性腎臓病は高齢猫の最大の死因で、症状が出る頃には腎機能の 70% 以上が失われている「サイレントキラー」。「水をよく飲む・尿が薄く量が多い・体重がじわじわ減る」が初期サインで、7 歳を過ぎたら年 2 回の血液検査(SDMA・クレアチニン・尿比重)が早期発見の鍵です。
猫の甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患。「よく食べるのに痩せる・水をよく飲む・落ち着きがなくなる」が特徴的なサインで、高齢猫の多くで腎臓病・心臓病と併発します。血液検査(T4 値)で診断でき、内服薬・療法食・甲状腺切除・放射性ヨウ素治療と治療選択肢が豊富です。
猫の腸リンパ腫
猫の消化管腫瘍で最も多いのが腸リンパ腫。「慢性嘔吐・体重減少・軟便」と慢性腸症(IBD)と症状が酷似しており、内視鏡または開腹生検での組織診断が必要です。低悪性度(small cell)と高悪性度(large cell)で予後が大きく異なり、低悪性度ならステロイド+クロラムブシルで中央生存 2 年以上の報告もあります。
猫伝染性腹膜炎(FIP)
FIP は猫腸コロナウイルスが体内で変異して全身性炎症を起こす致死率の高い疾患でしたが、近年の抗ウイルス薬(GS-441524)の登場で「治療可能な病気」へと劇的に変化。「持続する高熱・体重減少・お腹の膨らみ(湿性)または黄疸・神経症状(乾性)」が主なサインで、早期診断と 84 日間の抗ウイルス治療で 80〜90% が回復するという報告が増えています。
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